制度ガイド

外壁調査(全面打診)とドローン点検を解説|10年ごとの義務と費用の考え方

タイル貼り等の外壁は竣工・改修から10年を超えると全面打診等の調査が義務になります(建築基準法12条・平成20年告示282号)。2022年からドローンによる赤外線調査も正式に認められました。制度と費用の考え方を解説します。

最終更新: 2026-07-30 | 執筆・編集: tenbou works

タイル貼りやモルタル仕上げの外壁は、経年劣化により剥落して歩行者に危害を及ぼすおそれがあります。このため建築基準法第12条の特定建築物定期調査では、竣工または外壁改修から10年を超えて最初の調査時に、外壁の全面的な調査(全面打診等)を行うことが義務付けられています(平成20年国土交通省告示第282号)。

全面打診とは

調査員がテストハンマーで外壁タイルを叩き、音の違いで浮き・剥離を検出する方法です。確実性が高い一方、外壁全面に手が届く必要があるため、足場の設置やゴンドラ・高所作業車が必要になり、費用の大半を仮設費が占めるのが難点です。

ドローンによる赤外線調査

2022年の定期報告制度の運用改善により、赤外線装置を搭載したドローンによる調査が全面打診の代替手法として正式に位置付けられました。タイルの浮き部分は健全部分と表面温度が異なるため、赤外線カメラでその温度差を検出します。

全面打診ドローン赤外線調査
足場・仮設必要(費用の大半を占める)不要
工期数週間〜数日程度
制約ほぼなし日射条件・隣棟距離・飛行規制の影響を受ける
向く建物低層・複雑な形状中高層マンション・オフィスビル

どちらが適するかは建物の高さ・形状・立地条件によります。ドローン調査は国土交通省の「定期報告における赤外線調査(ドローン活用を含む)ガイドライン」に沿って実施できる事業者を選ぶことが重要です。

実施しない場合のリスク

外壁タイルの剥落事故では、建物所有者・管理者の責任(民法717条の工作物責任)が問われます。定期調査での指摘を放置して事故が起きた場合、損害賠償に加えて刑事責任に発展した事例もあります。10年周期の調査時期を把握し、計画的に予算化することがオーナー・管理組合のリスク管理の基本です。

出典・参考資料

よくある質問

外壁調査はすべての建物で義務ですか?

特定建築物定期調査(建築基準法12条)の対象建物のうち、タイル・モルタル等の落下で歩行者等に危害が及ぶおそれのある外壁を持つ建物が対象です。竣工または外壁改修から10年を超えて最初の定期調査時に全面的な調査が必要になります。

ドローン調査は法的に認められていますか?

はい。2022年の国土交通省告示改正(定期報告制度の運用改善)により、全面打診の代替として赤外線装置を搭載したドローンによる調査が正式に位置付けられました。足場や高所作業車が不要なため、条件が合えば費用を大幅に抑えられます。

打診とドローンはどちらが安いですか?

建物の形状・立地によります。足場設置が必要な全面打診は数百万円規模になることがある一方、ドローン赤外線調査は足場不要のため中高層建物では大幅に安くなるケースが多いです。ただし外壁面の日射条件や隣棟距離によってはドローン調査が適さない場合もあります。

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