防火設備定期検査は、建築基準法第12条に基づき、防火扉・防火シャッターなどの防火設備を対象とする年1回の法定検査です。2013年の福岡市診療所火災(防火扉が作動せず10名死亡)を契機に、2016年6月の建築基準法改正で新設された比較的新しい制度で、認知度が低く、検査漏れが起きやすい点検の代表例です。
消防設備点検との違い
| 消防設備点検 | 防火設備定期検査 | |
|---|---|---|
| 根拠法令 | 消防法第17条の3の3 | 建築基準法第12条 |
| 対象設備 | 消火器・自動火災報知設備・避難器具・スプリンクラーなど | 随時閉鎖式の防火扉・防火シャッター・耐火クロススクリーン・ドレンチャー |
| 頻度 | 機器点検6ヶ月・総合点検1年に1回 | 1年に1回 |
| 報告先 | 管轄の消防署・消防本部 | 特定行政庁(建築指導課等) |
| 検査資格 | 消防設備士・消防設備点検資格者 | 一級・二級建築士、防火設備検査員 |
名前が似ているため混同されがちですが、両者は根拠法令・対象・報告先がすべて異なる別の義務です。「消防点検はやっているから大丈夫」と思っていた建物で、防火シャッターの検査が一度も行われていなかったというケースは珍しくありません。
対象になる建物
- 随時閉鎖式の防火扉・防火シャッター等が設置されている建物であること
- 建築基準法で一律に定められた対象(病院・診療所・ホテル等で一定規模のもの)、または特定行政庁が指定する建物であること
特に病院・高齢者福祉施設など就寝を伴う施設は重点対象です。指定範囲は特定行政庁ごとに異なるため、所在地の建築指導課への確認が確実です。
検査の内容
防火扉・シャッターが火災時に確実に閉鎖するかを、実際に作動させて確認します。具体的には、感知器との連動による自動閉鎖、閉鎖の障害となる物品の有無、危害防止装置(シャッターに挟まれるのを防ぐ装置)の作動などを検査し、結果を特定行政庁に報告します。
出典・参考資料
よくある質問
消防設備点検をしていれば防火設備定期検査は不要ですか?
いいえ、別の制度です。消防設備点検は消防法に基づき消防署へ報告するもので、防火設備定期検査は建築基準法第12条に基づき特定行政庁へ報告するものです。対象設備も異なり、防火扉・防火シャッター等の「閉まる仕組み」は防火設備定期検査でしか確認されません。両方の義務がある建物が多くあります。
どんな建物が対象ですか?
随時閉鎖式の防火扉・防火シャッター等が設置されている建物のうち、特定行政庁が指定するものです。病院・ホテル・物販店舗など不特定多数が利用する建物が中心ですが、指定範囲は地域により異なるため、所在地の特定行政庁(都道府県・市の建築指導課)で確認してください。
検査できるのは誰ですか?
一級建築士・二級建築士、または防火設備検査員の資格を持つ者です。
