消防設備点検を毎年やっているから安心、とは言えない建物がある

公開: |運営: ubusuna works

この記事の結論

消防設備点検とは別に「防火対象物点検」という制度があります。対象かどうかは収容人員で決まり、特定防火対象物で300人以上、または30人以上で階段が1つしかないなどの条件を満たす場合です。小規模なテナントビルでも対象に入ることがあります。

誰向けか: 消防設備点検は受けているが、他に必要な点検が無いか気になる所有者

  1. 建物の収容人員が300人以上か
  2. 収容人員30人以上で、避難に使える階段が実質1本ではないか
  3. 当てはまりそうなら所轄の消防署に確認する

消防設備点検は毎年欠かさず受けている。報告書の控えも棚に並んでいる。だから消防法上の義務は足りている——そう考えている管理者は多い。

その安心は、建物の収容人員によっては半分しか正しくない。消防設備点検とは別に、「防火対象物点検」というもう1つの法定点検が存在する。

見ているものが、そもそも違う

消防設備点検は、消火器やスプリンクラー、自動火災報知設備が正常に作動するかを確かめる点検である。設備という「モノ」が主語になる。

防火対象物点検は、避難路がふさがれていないか、防火管理者が選任されているか、消防計画に沿った訓練が行われているかといった、建物の防火管理の「体制」を見る点検である。消防法第8条の2の2に根拠を持ち、消防設備点検(同法第17条の3の3)とは別の条文で義務付けられている。

設備が全部正常でも、避難路に物が積まれていれば、防火対象物点検は通らない。逆に言えば、片方の点検票がそろっていても、もう片方の義務が消えるわけではない。

対象になるかどうかは、収容人員で決まる

対象になる建物は、大きく2つの入り口がある。

1つは、百貨店・遊技場・映画館・病院・老人福祉施設といった特定防火対象物で、収容人員が300人以上のもの。

もう1つは、収容人員が30人以上で、地階または3階以上に特定用途の部分があり、かつ避難に使える階段が1つしかない、といった一定の条件を満たす特定防火対象物である。

後者の条件は見落とされやすい。小規模なテナントビルでも、階段が実質1本しかない構造であれば、収容人員30人という比較的低いラインで対象に入ってくる。

誰が点検し、どこへ出すか

点検を行えるのは、防火対象物点検資格者に限られる。火災予防に関する専門知識と、消防防災分野での一定の実務経験を持ち、登録講習機関の講習を受けたうえで考査に合格した者に交付される資格である。消防設備点検を行う消防設備士・消防設備点検資格者とは、別の資格である。

点検の頻度は年1回。結果は「防火対象物点検結果報告書」として、管轄の消防長または消防署長に提出する。

3年連続で通ると、点検が要らなくなる制度もある

3年連続で点検結果が適合と判定されると、消防署長に特例認定を申請できる。認定を受けると、消防法第8条の2の3に基づき、防火対象物点検そのものが最大3年間免除される。認定を受けた建物には、防火優良認定証を掲示できる。

裏を返せば、免除を受けている建物が特別に安全というより、直近3年の点検実績がそのまま信頼の根拠になっている制度だということになる。認定証が掲示されていない建物では、年1回の点検が今も続いているはずである。

出さなかったときの値段

点検を実施しない、あるいは報告をしない場合、消防法上30万円以下の罰金または拘留の対象になる。法人に対する両罰規定もあり、担当者個人だけの責任にはならない。

棚の報告書を、もう一度見る

消防設備点検の控えが並んでいるからといって、防火対象物点検の控えがそこに混ざっているとは限らない。

  1. 自分の建物の収容人員と、地階・3階以上の用途、階段の数を確認する
  2. 特定防火対象物300人以上、または上記の条件に当たるかを見る
  3. 当たる場合は、防火対象物点検結果報告書の控えを別途探す

消防設備点検と防火対象物点検は資格者が別なので、両方を1社にまとめて任せられるかは業者ごとに確認が必要になる。点検ビトの業者データベースでは、対応業務で絞り込んで比較できる。


出典


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