点検の見積もりを頼む前に、建物について答えられるようにしておく5つ

公開: |運営: ubusuna works

この記事の結論

見積もりの前に揃えるのは、①建物の用途 ②延べ面積 ③階数(地下・無窓階を含む) ④設置されている消防用設備等の種類 ⑤前回の点検報告書、の5つ。この5つが揃っていない状態で複数社に頼むと、各社が別々の前提で見積もるため、金額を横に並べても比べられない。

誰向けか: はじめて消防設備点検の見積もりを取る、建物の所有者・管理者・テナントの担当者。

  1. 用途は「事務所」ではなく、消防法施行令別表第一のどの項に当たるかで決まる(同じ建物でもテナントの業種で変わる)
  2. 延べ面積と階数は、設備の設置義務そのものを左右する
  3. 前回の報告書があれば、設置設備の一覧が載っている。無ければ現地を見ないと出せない

3社に見積もりを頼んだら、金額が2倍違った——という話をよく聞く。原因は会社側の値付けよりも、渡した情報が足りていないことにあることが多い。足りない情報は各社が推測で埋める。推測が違えば、金額は違う。

揃えるのは5つだけである。

① 建物の用途

いちばん重要で、いちばん間違えやすい。「事務所ビルです」では足りない。

消防法の世界では、建物の用途は消防法施行令の別表第一で項ごとに分けられている。飲食店・物販店・共同住宅・事務所などが、それぞれ別の項に入る。この項によって、設置しなければならない設備も、点検の報告の周期も変わる。

テナントが入ると変わる

1階が飲食店、2階以上が事務所——という建物は、用途が混ざった扱いになる。テナントが入れ替わると用途が変わることがある。前回の点検から入れ替わりがあったなら、それも伝える。

② 延べ面積

各階の床面積を合計したものである。建築確認の書類か、登記事項証明書に載っている。

面積は、設備の設置義務そのものを左右する。同じ用途でも、面積が基準を超えると必要な設備が増える。「だいたい200坪くらい」ではなく、平方メートルの数字で伝える。

③ 階数

地上何階・地下何階かに加えて、無窓階があるかどうかを伝えられると精度が上がる。無窓階は、避難や消火活動に使える開口部が基準に満たない階のことで、消防設備の設置基準が厳しくなる。

判断は図面と現地で行うものなので、分からなければ「不明」と伝えればよい。分からないことを分からないと伝えるほうが、推測で埋められるより正確な見積もりになる。

④ 設置されている消防用設備等

前回の報告書

これがあると話が早い。報告書には、その建物に設置されている設備の一覧が載っている。消火器・自動火災報知設備・誘導灯・スプリンクラー設備・屋内消火栓——何が何個あるかまで書かれていることが多い。

報告書がある場合

設備の種類と数量が分かるので、現地を見る前でも見積もりの精度が上がる。写しを送れば足りることが多い。

報告書が無い場合

現地を見ないと出せない。無料の現地調査を行う会社もあるが、その分の日数がかかる。無いことも先に伝える。

前回の報告書は、建物の関係者が保管しているか、所轄の消防署に提出した控えがある。管理会社が変わったときに引き継がれていないことがあるので、まず探す。

⑤ 前回の点検で「要是正」が出ていたか

出ていた場合、その項目が直っているかどうかで、今回の作業量が変わる。直っていなければ、同じ指摘が再び載る。改修まで頼むのかどうかも、ここで決まる。点検と工事が別の制度で動いていることは消防設備の「点検」と「工事」は、別の資格と別の許可で動いているに書いた。

5つを揃えて、同じ文面で頼む

揃ったら、同じ文面を複数社に送る。会社ごとに書き方を変えない。

【建物】◯◯ビル(所在地)/用途: 1階 飲食店・2〜5階 事務所/延べ面積: ◯◯㎡/階数: 地上5階・地下1階/無窓階: 不明 【設備】前回報告書の写しを添付します(自動火災報知設備・消火器・誘導灯・屋内消火栓) 【前回】要是正 ◯件(内容は報告書のとおり・未改修) 【依頼】機器点検・総合点検・消防署への報告まで含めた年間の費用をお願いします

最後の一文が効く。**どこまでを含めた金額かを揃えないと、比べられない。**報告の代行を含む会社と含まない会社では、同じ「年間◯円」が違うものを指す。

見積書が返ってきてからの読み方は消防設備点検の見積もりの読み方にまとめた。

業者を探すところから

当サイトは、都道府県が公表する建設業許可業者名簿(消防施設工事業)から26都道府県の9,552社を許可番号つきで転記している。地域で絞り込んでから、上の5つを揃えて数社に同じ文面で送るのが、いちばん手数が少ない。

出典

  • 消防法施行令 別表第一(防火対象物の用途区分) ※項ごとの区分と設置義務の詳細は所轄の消防署にご確認ください
  • 当社データ(掲載9,552社・26都道府県) 集計日2026-09-02
  • 無窓階の判定、用途の項の判定、設備の設置義務は、建物ごとに所轄の消防署が判断します。当サイトは判断を行うものではありません

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